2013年4月に高齢者雇用安定法が改正され、企業は、継続的に就労を希望する人には、65歳まで雇用しなければいけない義務が課されました。これは年金受給年齢の引き上げに伴って、60歳以上も継続して働きたいという人が増えてきたことが背景にあります。ちなみに今年度60歳になる方では、約90%が60歳以上も働きたいという意思を表示しているといわれています。

さて、このようなことになって、どう変化したか、現在どうなのか?を私のサラリーマン時代の経験や今まで読んだ文献などから整理し、まずは、企業側の問題から解説したいと思います。

  1. 2013年から2018年までの5年間、いわゆる雇用契約を継続できないことでの退職者が少なくなることとなった。結果として、要員減少が少なく、新しい採用を控えざるをえなかった。また、求人数が増えている現状を考えると2018年から増加することが予測される退職者増に新規採用が追いつかなくなることが予測される。
  2. 今までは、ベテランにはベテラン向け業務を付与することで対応してきたが、ベテラン社員数の増加により、若手が担う仕事を付与せざるをえない状況となってきた。
  3. 周囲に好かれるシニアと好かれないシニアに二極化し、二世代離れた年齢層職場において、更なるコミュニケーション上の問題が生じてきた。
  4. 年金補填的な給与の設定をしていることで人事考課による給与の変動がないため、やってもやらなくても一緒という雰囲気になってきた。
  5. 今までは、上司部下の逆転現象(昔の上司が部下)が昔の上司の60歳で解消されていたが、65歳まで継続雇用を希望した場合、あと5年も続くこととなり、ごまかしが利かないため、違う部署に再配置せざるをえなくなってきた

こういった事情により、ベテラン層のマインドアップや活用が人事管理上の課題にノミネートされてきました。今後は、これに企業は対処しないといけませんし、1億総活躍施策による国としての施策も展開されるでしょうから、事前に対処することを強くお勧めする次第です。